「サステナブル」という言葉を耳にする機会が増え、その意味や、なぜ今、地球や社会にとって持続可能な取り組みが重要なのか、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、サステナブルの意味や気候変動などの背景、SDGsとの関係性を解説します。さらに、世界や日本の企業が実践する具体的な事例、そして私たち一人ひとりにできることまで、幅広くご紹介します。
サステナブルの意味とは?
「サステナブル」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。ニュースや企業の広告、日常生活の中でも見かけるようになり、その重要性が広く認識されつつあります。
「サステナブル」の語源と基本的な意味
「サステナブル(sustainable)」は、sustain(維持する)+able(〜できる)から成る言葉で、「持続可能な」という意味になります。具体的には、地球の環境や資源を損なうことなく、社会や経済活動を長期的に維持していくことを指します。よく言われる要素は「環境・社会・経済」の3つのバランスです。
また、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会(通称ブルントラント委員会)」が公表した報告書『我ら共通の未来(Our Common Future)』で提唱された「持続可能な開発(Sustainable Development)」という言葉が広く知られるきっかけとなりました。
この定義は、単に環境保護にとどまらず、貧困、不平等、経済成長といった社会・経済的な側面も含めた、多角的な視点から「持続可能性」を捉える重要性を示しています。
サステナブルを構成する3つの側面(3P)
サステナブルな社会を考える上で、重要な3つの側面があります。これらは「トリプルボトムライン」や「3P(People・Planet・Prosperity)」とも呼ばれ、相互に深く関連し合っています。
| 側面 | 内容 | 具体的な取り組み例 |
|---|---|---|
| 社会(People) | 人々の暮らしや健康、平等性、人権などを守り、より良い社会を築くこと。 | 人権尊重、労働環境の改善、多様性の受容、地域社会への貢献、貧困対策、教育支援など |
| 環境(Planet) | 地球の自然環境や資源を守り、生態系を健全に保つこと。 | 温室効果ガス削減、再生可能エネルギー導入、資源の循環利用(リサイクル)、水資源の保全、生物多様性の保護など |
| 経済(Prosperity) | 経済活動が長期的に安定し、持続可能な形で発展していくこと。 | 公正な取引、安定した雇用創出、イノベーションによる新たな価値創造、持続可能なサプライチェーン構築など |
これらの3つの側面は、どれか一つだけが満たされれば良いというものではありません。
例えば、経済的な利益だけを追求し、環境や社会に負荷をかけるような活動は、長期的に見て持続可能とは言えません。環境・社会・経済のバランスを保ちながら、全体として向上していくことが、真のサステナブルな社会の実現には不可欠なのです。
サステナブルな取り組みが必要な背景
近年、私たちの社会やビジネスを取り巻く環境は大きく変化しており、サステナブルな取り組みの重要性がかつてないほど高まっています。地球規模の課題が顕在化する中で、企業や個人が持続可能な未来を築くための行動が強く求められています。
気候変動と資源高騰の現実化
地球温暖化は現在進行形の課題です。豪雨・洪水や干ばつによる不作、猛暑の健康被害など異常気象が常態化し、食料生産やインフラを揺るがしています。
一方、化石燃料や鉱物資源といった天然資源の枯渇リスクも深刻化しています。新興国の経済発展に伴う需要の増加や、供給元の地政学的リスクにより、原油や天然ガス、レアメタルなどの価格が高騰する傾向が続いています。
これにより、原材料費の上昇は企業のコスト増と消費者負担につながり、サプライチェーン全体と経済の持続可能性を脅かしています。
環境ルールの強化と表示の義務化
国際的に環境に関する法規制が加速しています。
例えば、欧州連合(EU)は「欧州グリーンディール」で2050年までのカーボンニュートラル達成を掲げ、日本も温対法や資源循環関連法の改正で企業の負荷低減を一段と要求しています。
日本においても、地球温暖化対策推進法や資源循環関連法の改正などにより、企業に対する環境負荷低減の要求が高まっています。
さらに、製品やサービスの環境に関する情報開示も、単なる推奨から義務へと変化しつつあります。
これは、企業が「グリーンウォッシュ」(実態よりも環境に配慮しているように見せかける行為)抑止と実質的な持続可能性の可視化が目的で、対応は事業継続の重要なコンプライアンス要件です。
消費者・働き手の意識変化
社会の持続可能性への関心が高まり、価格や品質だけでなく企業の環境・社会配慮が購買基準になるといった消費者の意識も変化しています。そのため、エシカル消費やSDGs志向が広がり、透明性や社会貢献度がブランド評価と購入に直結しています。
また、働き手、とくに若年層も「環境・社会に向き合う会社か」を重視するような変化が見られます。姿勢を明確に示すことは優秀人材の獲得やエンゲージメント向上につながります。さらにESG重視の投資が拡大し、サステナビリティは資金調達面でも重要テーマになっています。
社会の持続可能性に対する関心は、企業だけでなく、私たち一人ひとりの意識にも大きな変化をもたらしています。
サステナブルとSDGsの違い
「サステナブル」と「SDGs」は、現代社会において頻繁に耳にする言葉ですが、その意味や役割について混同されることも少なくありません。しかし、これらは密接に関連しながらも、明確な違いを持つ概念です。
サステナブル(持続可能性)とは?
サステナブルは、特定の目標や期限を持つものではなく、地球や社会が健全な状態を保ちながら、長期的に発展し続けるための基本的な考え方や理念そのものを表しています。
SDGs(持続可能な開発目標)とは?
「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」と訳されます。これは、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき国際社会共通の目標です。
SDGsは、貧困や飢餓、教育、ジェンダー平等、気候変動など、地球規模の課題を解決し、持続可能な社会を実現するために、具体的に17のゴール(目標)と、それらをさらに細分化した169のターゲットから構成されています。
政府、企業、市民社会など、あらゆるステークホルダーが共通の認識を持ち、具体的な行動を起こすための羅針盤として機能します。それぞれの目標には数値目標や期限が設けられており、進捗を測りやすい点が特徴です。SDGsに関する詳細は、外務省のWebサイトでも詳しく解説されています。
両者の関係性と相違点
サステナブルとSDGsは、ともに「持続可能な社会」を目指すという点で共通していますが、その性質には明確な違いがあります。
共通の目的:持続可能な社会の実現
両者ともに、地球の環境を守り、社会の公平性を高め、経済を健全に発展させることで、現在の世代だけでなく、未来の世代も豊かに暮らせる社会を目指しています。この根本的な理念において、両者は深く結びついています。
概念と目標体系:根本的な違い
最も大きな違いは、その性質にあります。サステナブルは、持続可能性という広範な「概念」や「考え方」そのものを指すのに対し、SDGsは、そのサステナブルな社会を実現するための具体的な「目標」や「枠組み」として位置づけられます。
SDGsはサステナブルを実現するための具体的な羅針盤
SDGsは、サステナブルという大きな理念を、世界中の人々が共有し、具体的な行動に移せるようにするためのツールであると言えます。
企業がSDGsに取り組むことは、サステナブルな経営を実現するための具体的なステップであり、個人がSDGsを意識した行動をとることも、持続可能な社会づくりへの貢献に繋がります。
つまり、サステナブルという「目指すべき方向性」があり、SDGsはそこへ到達するための「具体的な地図」であると理解すると、両者の関係性がより明確になるでしょう。
サステナブルな取り組みの事例
サステナブルな社会の実現に向け、世界中の国や企業、そして私たち個人が、多様な取り組みを進めています。
世界的な取り組み
地球規模の課題解決には、国境を越えた協力が不可欠です。世界では、気候変動対策から資源の循環利用、人権尊重に至るまで、様々なサステナブルな取り組みが進められています。
| 取り組み分野 | 主な内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 気候変動対策 | パリ協定に基づく温室効果ガス排出削減目標の設定と実施 | 地球温暖化の抑制と持続可能な社会の実現 |
| 投資・金融 | ESG投資の拡大、サステナブルボンドの発行 | 環境・社会課題解決に貢献する企業への資金流入促進 |
| 資源循環 | 循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行 | 資源の効率的利用、廃棄物の削減、環境負荷の低減 |
| サプライチェーン | 人権・労働環境・環境負荷に配慮した調達基準の導入 | 倫理的で持続可能なサプライチェーンの構築 |
これらの国際的な取り組みは、企業活動にも大きな影響を与えており、多くのグローバル企業がサプライチェーン全体での環境負荷低減や人権尊重を重視するようになっています。
日本の取り組み
日本でも、国、自治体、企業、そして市民社会が一体となり、サステナブルな社会の実現に向けた多様な取り組みを進めています。
| 取り組み主体 | 具体的な取り組み例 | 目指す効果 |
|---|---|---|
| 国 | 「2050年カーボンニュートラル宣言」、再生可能エネルギー導入促進 | 脱炭素社会の実現、エネルギー自給率の向上 |
| 地方自治体 | ゼロカーボンシティ宣言、地域循環共生圏の推進 | 地域特性に応じた持続可能なまちづくり |
| 企業 | 食品ロス削減、「プラスチック資源循環促進法」、ESG経営の強化 | 環境負荷低減、資源効率の向上、企業価値の向上 |
| 市民社会 | エコラベル製品の選択、リサイクル活動、地域の清掃活動 | 持続可能な消費行動の促進、地域環境の保全 |
さらに、多様な働き方を推進するダイバーシティ&インクルージョンの取り組みや、地域社会への貢献活動なども、日本企業が重視するサステナブルな要素となっています。
トラストの取り組み
滋賀県のリサイクル会社「有限会社トラスト」では、障がいのある方の働く場を創出する委託事業所「ウェルメント」と提携しています。
ウェルメントでは、ガラスやプラスチックを素材ごとに丁寧に分けて解体する「分別解体」を徹底し、回収したガラス・プラスチック・金属等を原料として再び活用する「マテリアルリサイクル」を推進しています。
廃棄物削減とCO₂排出抑制、資源循環に貢献すると同時に、多様な人が働ける機会を広げる――環境・社会・経済の三側面で、事業そのものがサステナブルな会社です。
私たちにできるサステナブルな取り組み
サステナブルな社会の実現は、国や企業といった大きな主体だけの課題ではありません。私たち一人ひとりの日々の選択や行動が、未来へとつながる大きな力となるでしょう。
日常生活での取り組み
日々の暮らしの中で意識を変えることで、サステナブルな社会への貢献は十分に可能です。まずは身近なところから始めてみましょう。
消費行動の見直し
私たちの消費行動は、環境や社会に大きな影響を与えます。賢い選択を心がけることが大切です。
特に、「3R(スリーアール)」と呼ばれる、Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の考え方を実践することは、持続可能な消費の基本となります。
※3Rに関して詳しく知りたい方は、「3Rとは?具体的な取り組みやトラストでの取り組みを紹介します!」をご覧ください。
また、製品を選ぶ際には、環境や社会に配慮して作られた製品やサービスを積極的に選ぶことを意味する「エシカル消費」や「グリーン購入」の視点を取り入れることも重要です。
さらに、食品ロス(フードロス)の削減も私たちにできる大きな取り組みの一つです。買い物をする際は必要な分だけを購入し、食材を使い切る工夫をする、食べ残しを減らす、といった心がけで、無駄をなくし、地球の資源を守ることにつながります。
エネルギー・資源の節約
日々の生活におけるエネルギーや資源の消費を抑えることも、サステナブルな社会への貢献となります。
- 節電・節水
- 移動手段の見直し
- 再生可能エネルギーの活用
地域社会への貢献
身近な地域での活動に参加することも、サステナブルな社会を築く一歩となります。
- 地域清掃やボランティア活動への参加
- 環境保護団体への支援
職場や学校での取り組み
個人としての取り組みに加え、職場や学校といった集団での活動も、サステナブルな社会への貢献において非常に重要です。
環境に配慮した働き方・学び方
日々の業務や学習においても、環境への配慮を意識することで、サステナブルな取り組みを推進できます。
- ペーパーレス化の推進
- サステナブルなオフィス用品・学用品の選択
- エネルギーの効率的な利用
- 環境教育への参加と実践
情報発信と意識の共有
サステナブルな取り組みを広げるためには、私たち一人ひとりが学び、そしてその学びを周りの人々と共有していくことが不可欠です。
サステナブルな情報の発信
私たちが得た知識や実践している取り組みを、積極的に発信していくことで、より多くの人々の意識を変えるきっかけとなることと存じます。
- SNSやブログでの情報共有
- 対話を通じた啓発
- イベントやコミュニティへの参加
私たち一人ひとりの小さな行動が積み重なることで、社会全体をより良い方向へと動かす大きな力となります。ぜひ、今日からできるサステナブルな取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
サステナブルとはどんな意味ですか?
sustain(維持する)+able(〜できる)からなる言葉で、「持続可能な」という意味があります。具体的には、地球の環境や資源を損なうことなく、社会や経済活動を長期的に維持していくことを指します。
サステナブルとSDGsの関係性とは?
サステナブルは「持続可能な状態・しくみ」そのものを意味し、SDGsはその実現に向けた国際目標(17分野・169ターゲット)です。つまり、サステナブル=理念/状態、SDGs=到達点と道しるべです。
サステナブルな取り組みの具体例は?
企業:再エネ切替・LED化、紙/梱包の削減、リサイクル素材の採用、フェア調達、時差/在宅など働きやすさの整備、地域への寄付・ボランティア。
個人:マイボトル・詰替え利用、節電・節水、フードロス削減(買い過ぎない/食べ切る)、リペア・再利用、公共交通や自転車の活用。
まとめ
この記事では、サステナブルな社会を目指すための世界的な動きや、日本国内での具体的な取り組み、さらには「トラスト」の事例をご紹介しました。
これらの取り組みは、決して遠い世界の出来事ではありません。本記事でも紹介したように、日々の生活の中で私たちが選ぶ商品一つ、利用するサービス一つにも、サステナブルな視点を取り入れることができるのです。
未来の世代に豊かな地球と社会を引き継ぐためにも、今日からできる「小さな一歩」を踏み出してみませんか。
滋賀県にあるリサイクル会社「トラスト」では、"未来のために今できること"を企業スローガンに掲げ、再資源化を拡大し、社会と人類の未来に貢献する活動をしています。
未来のためにできることは「小さな一歩」かもしれませんが、その一歩が未来へつながります。私たちトラストと一緒に、未来の地球を守るための一歩を踏み出してみませんか?
「環境を守るための新しいチャレンジがしたい」「環境問題に興味がある」など、これらの課題に寄与して行きたいという方は、ぜひご連絡ください。あなたの力をお待ちしています!



